最近ではスマホゲームの普及やゲーム実況動画の影響で、ゲームをプレイする子供がかなり増えています。ゲームに熱中する子供を持つ人も多いのではないでしょうか。子供がゲームするのを見て「ゲームのしすぎで教育に影響が出ると怖い」と思う方も多いです。
しかし、ゲームは子供の成長にとっていい効果ももたらしてくれます。もちろん、ゲーム依存症にならないように気を付けることは大切ですが、ゲームをプレイすること自体は悪いことではありません。
この記事では、子供がゲームをプレイするメリットやゲーム依存の対策について説明しています。ゲームに熱中している子供を持っている人はぜひご覧ください。
子供がゲームをするメリット
子供がゲームをプレイするメリットについて説明していきます。ゲームをプレイすることによって得られるものとしては「知的好奇心」「コミュニケーション能力」「創造力」「思考力」「マルチタスク能力」が挙げられます。
知的好奇心
ゲームをプレイして今までにない新しい体験をすることによって知的好奇心が育まれます。好奇心が育まれるのは子供にとって重要なことです。
子供に大人気なマインクラフトでは、洞窟や森を探検して新しい場所を見つけたり新しいアイテムをつくったりする要素があり、これらに取り組むことで知的好奇心が満たされていきます。
マインクラフト以外でも、ゲームをプレイする中で新たな体験をする機会は多いです。子供が「やってみたい!」と思っていることをやらせてあげることで、さらに知的好奇心が育まれていきます。
知的好奇心が育つと、自分で新しいことを知ろうとするので、教育においてもよい影響を与えてくれるでしょう。
コミュニケーション能力
ゲームの中には他人とコミュニケーションを取りながらプレイするものも多いです。ゲームでコミュニケーションを取ることで、意見を上手く伝えることや人の話を聞くことに慣れていきます。
チームスポーツなどでは相手に勝利するためにコミュニケーションを行うことが重要とされていますが、それはゲームでも同じです。実際にプレイ動画を見てもらえれば分かると思いますが、チーム形式のゲームでは細かくコミュニケーションが取られています。
創造力
ゲームの中には創造力が鍛えられるものも多いです。マインクラフトでは、ブロックを置いて建物をつくるといった遊び方がありますが、この遊びをする中で子供の創造性が発揮されていきます。
他にもまちづくりシミュレーションゲームシムシティも創造力が鍛えられるゲームとして有名です。シムシティは日本の教育現場にも採用されており、宮崎県立小林秀峰高等学校ではスマートフォン版のシムシティ ビルドイットが授業に導入されています。
思考力
対戦系のゲームは思考力が求められます。相手に勝つためにはどんな動きをすればいいのか、どんな武器・キャラクターを使えばいいのか、といった点で頭を使わなくてはいけません。勝つためにいろいろなことを考えることで思考力が深まっていきます。
また、世界的に有名なプロゲーマーウメハラ氏も思考力を重視しており、思考を深めることで世界一になることができたと自身の書籍などで発言されています。
(ウメハラ氏の考え方についてはこちらの記事でくわしく解説しています)
マルチタスク能力
特に対戦系のゲームでは、同時に考えることが多いです。FPSなどのシューティングゲームであれば、自分の位置、視線、相手の位置、全体の作戦などいろいろな事を考えながらプレイしなければなりません。
こうしたことを経験することで、マルチタスク能力が鍛えられます。別のことに応用できるかは分かりませんが、マルチタスクをする経験をできるのはゲームのいい所です。
ゲームを利用した教育
最近では、ゲームをプレイするメリットを活用するために、ゲームを利用した教育というのも少しずつ見られています。国内外両方で事例があるので、それぞれ紹介していきます。
海外のゲーム教育
イギリスでは、Digital Schoolhouseという教育機関がゲーム教育に積極的です。この教育機関はプログラミングなどのIT関係のスキルを学習するための機関ですが、その教育内容の1つにeスポーツが取り入れられています。
また、スウェーデンのヴィクトル・リュードベリ記念学校ではマインクラフトを必修科目にするという取り組みがありました。マインクラフトを通して都市計画等への関心を深めることが目的だそうです。
この他にも、アメリカでは学生のeスポーツリーグが発足するなどしており、海外ではゲームが教育現場に介入するのがスタンダードになっています。
日本のゲーム教育
日本でもゲームが教育に使われている事例があります。京都府の立命館小学校では、マインクラフトを用いて海外の子供たちと交流するプログラムが取り入れられました。
海外の子供たちと一緒に建物を建築すること等を授業内課題としており、これによって英語力やコミュニケーション能力が鍛えられています。
この教育方法は世界的にも注目され、授業を担当している正頭英和先生は教育界のノーベル賞とも言われる「Global Teacher Prize 2019 Top10」に選出されました。
ゲームの家庭教師
海外では、ゲーム向けの家庭教師を仲介するサイトもあり、利用している人が増えてきているそうです。アメリカではFortniteが特に人気で、Fortniteを指導するための家庭教師を雇う人が増えています。
日本でもゲームの家庭教師から指導を受けられる機会が増えています。代表的なのはゲムトレというサービスです。ゲムトレは国内で初めて「ゲームのための家庭教師」を始めました。
ゲムトレは2019年にサービスを開始しており、2021年6月にはゲームトレーニングの回数が1万回を超えました。ゲムトレ内で大会も行われており、子供たちが活躍する場も提供してくれています。
(ゲームの家庭教師についてはこちらの記事でくわしく紹介しています)
ゲーム依存にさせないためには?
ゲームを子供にプレイさせる上で心配なのは「依存症になってしまうのではないか?」ということですよね。ゲーム依存は親が子供に働きかけることである程度は抑制することができます。
子供のゲーム依存が不安な人はこれから説明する4点を意識しておいてください。
学校で孤立していないか
子供が学校にうまくなじめているかどうかは、ゲームのプレイ時間に影響を与える可能性があります。学校で人との関係をうまくつくれない場合、オンラインゲームに人とのつながりを求めてしまう場合があるからです。
子供がゲーム依存になりそうで不安という方は、学校生活について少し聞いてみるといいでしょう。
親子で会話をしているか
慶應義塾大学の田中辰雄教授が行ったアンケートでは「平日にほとんど子供と話をしない」という家庭の子供がゲームのプレイ時間が長くなるという傾向があったようです。
田中教授は因果関係までは分からないとしていますが、会話をあまりしない家庭は注意が必要だと言及されています。
ゲームのプレイ時間を決める
田中教授が行った調査では、ゲームのプレイ時間が3時間以上の子供は偏差値の高い学校への進学率が低くなるというデータが出ました。
また、ゲームのプレイ時間が1時間前後の子供は、ゲームをまったくしない子供と比べて大きな差が出ていません。この結果から、ゲームのプレイ時間は1~2時間程度に設定するのがよいと言えそうです。
(田中教授の調査については、朝日新聞EduAの『ゲームで学力は低下する?大規模調査で「1日1時間以内ならむしろ好成績」』を参照しました)
精神科・心療内科を受診する
精神科・心療内科の中には、ゲーム依存にフォーカスした治療を行っている所もあります。症状がひどい子供に対しては入院治療を使う所もあるので、子供がもうゲーム依存になってしまったという方はすぐに精神科・心療内科に連れていくことをおすすめします。
まとめ
- ゲームをプレイするメリットは「知的好奇心」「コミュニケーション能力」「創造力」「思考力」「マルチタスク能力」が鍛えられること
- 国内外でゲームが教育の現場に取り入れられている
- ゲームの家庭教師も登場している
- ゲーム依存させないためには「学校での人間関係」「家での会話」「プレイ時間」に注意する必要がある
- 子供がゲーム依存になってしまったら精神科・心療内科を受診する
いかがでしたでしょうか。以前までは「ゲームは遊び」という認識が強くありましたが、現在では教育と関連づけられることも多くなりました。
海外では学生のeスポーツリーグができたりと、学生の課外活動の1つとしてゲームが行われています。日本でも高校生限定の大会が大規模に開催されるようにもなりました。いつかは課外活動としてサッカーや野球と並ぶ存在になるかもしれませんね。